【ネタバレあり】ハリウッド版「ゴースト・イン・ザ・シェル」は楽しめたが、もったいない作品
攻殻機動隊のハリウッド版について、一言で言うと「壮大なファン作品」という感じである。 はっきりいって全く期待せずに観に行ったのだが、思いのほか楽しんで帰れたぼくがいた。
押井版やSACの、衒学的ともいえる情報過多なものを期待して行くと、少々肩透かしなのは確かだ。香港、日本、アメリカを混ぜ込んだ謎の街の描写が、ブレードランナーを上回るネタっぽさで、いちいち吹き出しそうになる点も残念ではある。謎の巨大立体映像広告、謎日本語、70年代のSF映画かい、みたいな。
押井守も言う通り、哲学の塊みたいだった押井版よりも、哲学的にも後退している。
それでも、身体を失って記憶を失って、そんな存在の自分とはなんだろうか?という題を見事描いている。色々引っかかるところはあり、手ばなしで褒められる作品ではないけれも、小難しい攻殻を、ハリウッド的エンターテイメントまで押し上げているこの作品は、一度観て損はないと思う。
また違った一つの「攻殻」なんだと思える作品だから。
以下はネタバレ全開の批評です
続きを読む友人とする貧乏な遊びが楽しかった
こちらを読んで、ぼくの周りの男の場合を考えてみた。
ぼくは浪費家で社内にも名前が轟いており、先月などは「飲み会費」が5万の大台を越え、そっと目を閉じ家計簿アプリを終了した。
社会人になり、友と一緒に遊ぶ、そのハードルが格段にあがった。 学生時代は、ほとんどの人が下宿をしており、夜の10時に「酒を飲むぞ」とメールを流せば、たちまち4、5人が酒瓶を片手に部屋に集まり、酒盛りが始まった。
築三十年以上のアパート、6畳一間に大きめのコタツ、皆で足を突っ込んで酒瓶を抱え、くだらないB級映画を眺めて語り合った。
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【ネタバレあり】「ひるね姫」が勿体なくて残念だった理由を考える(辛口感想・レビュー)
攻殻機動隊S.A.C、東のエデンを監督した神山監督。その新作が、封切りになった。 「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」である。
公式PVからは、夢と現実が交錯する、SF要素をまぶした青春ものだと感じ取っていた。 社会情勢ものをマイルドにして、東のエデンを作ったように。 SF要素をマイルドにして、ひるね姫が作られるのだと思った。
押井守の「虚構と現実」が青春ものになるのだろうか?そんな風に想像して、ぼくは大変にわくわくしていたんだ。
けれど、それは間違っていた。 この映画を観たあと、ぼくが真っ先に抱いた感想。
「一体、ターゲットは誰なんだ」。
テーマはしっかりしているし、映像も美しい。IGらしい*1カチっとした作画で、迫力のある映像は魅力的。劇場で観るに値する、ハイクオリティな映像だ。
そう、問題は脚本なのだ。
映画を観るつもりの人や、攻撃的な批評を好まない人は以下は読まないこと 。
*1:シグナル・エムディはIGポートの子会社として設立されている