あの頃、ぼくらの夏休みは永遠だった。
夏が終わる、という言葉が、昔ほどその重みを喪ったのはいつ頃だろうか。
かつてのぼくらの夏は、ほとんど永遠だった。梅雨が明け気温が上がり、お天道さまが威力を誇らしげに示すようになる頃、ぼくたちは蒸されるような体育館に集まる。怪我をしないように、健康に気をつけるように、体の悪いところを治すように。校長先生の長くつまらない話を終え、教室に戻ると、いよいよだ。通信簿、夏休みの宿題、そして図画工作の作品……そういったものが配られ、ランドセルに、手提げ袋に、めいめい詰め込めるだけ詰め込んで、学校を飛び出す。そうして、夏休みがやってくる。
続きを読む天国の友人よ、久々に切れちまったぜ。屋上へ行こうぜ
人が本当に死ぬのは、その人のことが話題にすら上がらなくなることなのだとぼくは思う。彼が死んだという知らせを聞いたのは、ぼくが大学4年生の頃だったと思う。
ある日珍しく母から電話が入って、こうぼくに告げた。
「ゼンくん、亡くなったってほんと?」
久々に聞いた名前に、懐かしさを覚えると同時に、えも言われぬ後悔の念が押し寄せてきた。
続きを読むハゲ治療、AGA治療でプロペシア服用6ヶ月目の現実。
「あれ?髪の毛増えた?」
その言葉は、まるで、あたたかな春の風のようにぼくの前髪をそっと撫でていった。ぼくの頭皮は、長く続いた冬を抜け、芽吹きの春を迎えたのである。
ぼくはどうやら、AGA、男性型脱毛症だという。AGAはその特徴として、遺伝するものとされている。両親の祖父も父親も見事に禿げているぼく。このエントリは、この身体にかけられた憎き呪いを断ち切ろうと立ち向かう、孤独な戦いの記録だ。
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