文学の祭典「第二十二回 文学フリマ 東京」
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文学フリマに行ってきた。文学フリマ、というとストイックなイメージを持たれるかもしれないが、これがなかなか懐の深いイベントだ。
現在は札幌や大阪などの地方都市でも開催されるようになり、東京では現在22回目*1。なかなか広がりをみせるこのイベント。ぼくはこのイベントが大好きで、ここ8年ほど欠かさず参加してる。
文学フリマの魅力
文学フリマの魅力は、小説などの一次創作の作品が多くあることにある。二次創作であったり映画・アニメ評論というのはその他の同人誌即売会でも見かけるが、一次創作の文芸作品はなかなかお目にかかれない。
そんな、昔ながらの「同人」が数多く集まる文学フリマは、本好きや文学好きにとっては心躍る祭典だ。
集まる作品の魅力
文学フリマは作者との距離が近い。ぼくはそれが楽しい。そして、言い方が悪いかもしれないが、同じ人でも作品によって出来不出来が顕著なのがまたよい。それはまるで年によって味の変わる日本酒のようだ。
アマチュアの方の書いた作品は、商業の型にはめられておらず、のびのびとして読む側も楽しい。頑張って新しいジャンルにトライしてみたのがうまくはまっていたり、そうでなかったり。作品と作家は分けて考えるという向きもあるが、ぼくはどうしても結びつけてしまうし、交流してどんな背景でどんなきっかけで書かれたのか?を聞くのも楽しい*2。
自分の勘だめし
話題の本を探して読むときと、本屋をぐるぐるして惹かれたものをぱっと買うときとがある。 ぼくの経験上、後者の自分の鼻に任せて買ったものは驚くほど自分にマッチすることが多い。 もちろん、ダメな場合もあるのだが、まるでそれは宝探しのようだ。
文学フリマで売られるものは、同人誌だ。事前の評判や情報は限られる。だから、最後に頼りになるものはやはり自分の勘なのだ。自力で宝石を見つけ出すその楽しみは、何事にも代えがたい。
イベントの工夫
文章力などというのは、絵と違って一目では分かりづらい。だから、なかなか気軽には買えないのだけど、文学フリマではこの辺りを工夫している。
たとえば、各サークルのブースとは別に、見本誌コーナーが設けられ、気になるサークルの本を試し読むことができる。また、チラシコーナーというものが用意され、各サークルのフリーペーパーなどが置かれる。気になるけど、ブースで立ち読みして合わなかった場合に立ち去るのは気がひける……という人も、心置きなく作品を吟味できる。
一般参加者としては会場への入場もカタログも無料で気軽に覗くことができる。また、特筆すべきはよくできたサークル紹介用Webシステム。こちら、文学好きエンジニアの人が開発したシステムのようで、とても使い勝手がよい。一般参加者は気になるサークルを登録できるし、サークル参加者は自分のサイトをわざわざ持つ必要もない。サークル参加者としても、告知用サイトなどを持つ必要が無く、サークル参加への敷居が低い。
文学フリマの熱
文学フリマの参加者は、サークル参加者の割合が多い気がする。かくいう僕も、一般参加だけでなく、寄稿することがある*3。
同じ趣味の人たちが、集まって楽しそうにしているものを眺めていると、こちらも参加者として参加したくなるものだ。文学フリマには、プロや賞受賞者がしれっとサークル参加していたりするけれど、コミケほど人がいないためか、列を成して整列……などということはない。殺伐としないゆったりとした空気と、同時に感じる創作文芸への熱意とが不思議に同居していて、ぼくは行くたびに熱にあてられてしまう。
さいごに
ぼくは他の同人イベントはコミケに時折一般参加するかしないか……というくらいで、まともに参加するのは、この文学フリマくらいだ。 だから、他の同人イベントはあまり知らないのだけれど、どうやら他のイベントとは趣きの異なるイベントのよう。
恒例のカレー屋さんだけでなく、今回はコーヒー屋さんが同人誌を売るブースも出してて、やはり少し変わったイベントだなとも思ったり。
是非、本好きの皆様に気軽に参加してほしいなあと思う。