若いからこそ投資をしよう
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ぼくは2015年の9月ごろからインデックス投資に手を出している。
理由は、勤め先が企業年金も退職金もないためである。その分手取りは多めだと言い張っているIT系弊社。確かに、ぼくが就活した頃は不景気の波が押し寄せており、その頃は相対的に悪くない手取りであった。
しかし、昨今の売り手市場を考えると良い水準とは言えない。 また身体の弱いぼくにとっては、ぶっ倒れたときにしばらく休める資産を作っておくのは必須だと思っていたのだ。 身体が弱いのに、業務がなかなかハードモードに突入しているのも無関係ではない。
本エントリでは、
「若いうちから投資をしていけば、複利効果で小額積み立てでも資産形成に有利だ」
ということを述べる。圧倒的多数を占めるシニア投資家(金はあるが時間がない)と、少数の若手投資家(時間はあるが金がない)とを比較し、時間と複利を味方につけた若手投資家の強みを簡単に示す。
若いうちからの投資のメリット
若者の投資家は少ないけれど
資産には様々あるけれど、資産家というと歳食ったおっちゃんを思い浮かべる。デイトレなどで、二十代で投資をしている人をネットでも見かけるとおもうけれど、投資家全体としてはかなり若い人の割合は少ない。
日本証券業協会の調査によると、20〜30代の投資家はたったの9%。過半数の56%が60代以上のシニア層だ。
個人投資家の証券投資に関する意識調査について | 日本証券業協会
シニア層の方が余剰資金を持っているし、金持っている分効率的な投資が出来て、若者に投資は向かないんでないの?って思う。 ただ、若者にも絶対的に勝てる部分っていうのがあって、それが 「時間」 だ。
60歳からの一括投資
たとえば、60歳から資産運用を始め、80まで継続していたとする。一括一千万をぽん、と運用し、期待リターンを年率5%と仮定してみる。 定常的な収入は無いため、余剰資金を一括預け入れという想定だ。
すると、2,653.30万円。1653万円の利益、2.6倍となる。
30歳からの積み立て
一方で、30歳から60歳まで毎月3万円積み立て、60から80までそのまま資産を運用していたと仮定する。すると、1,080万円の積み立てとなり、60歳時点で2,497万円。1,417万円の利益、おおよそ2.3倍となる。
続いて、2,497万円を60歳から80歳までの20年間、積み立て無しでそのまま維持し続けたと想定してみる。すると、6,625万円となり、これは原資のおおよそ6倍だ。
複利が絡んだ積み立てシミュレーションは、次のツールを使うと容易にできる。
計算の根拠
この5%は、乱暴ではあるが国内外の株式の期待リターン値をおおよそで当てはめたもの。
上記資料から抜粋すると、1973 〜 2012年の国内外株式と債券における、年間の期待リターン値は次の通りとなる*1。
項目 | 期待リターン | リスク(標準偏差) | リターンの幅 |
---|---|---|---|
国内株式 | 4.8% | 22.48% | +27.28% 〜 -17.68% |
外国株式 | 5.0% | 22.48% | +27.48% 〜 -17.48% |
国内債券 | 3.0% | 6.5% | +9.5% 〜 -3.5% |
外国債券 | 3.2% | 12.90% | +16.8% 〜 -9.7% |
無論、シニアになっても株式というハイリスク資産だけで運用するの?という突っ込みはあったりするが、計算の単純化のための対応なので許して欲しい。
どうせ勝負するなら分の良い勝負がいい
「どうせ若者は数が少なくて搾取されるだけだ」などと言って腐るよりも、ありものの武器でなんとか戦い生き抜くほうが生産的ではないかと僕は思う。
金はお年寄りにあって若者にはないかもしれないけれど、時間は若者に味方している。経済だって、日本は縮退するかもしれないけれど、世界経済規模でみれば、きっと右肩上がりなはずだ。だって、人間って欲望に満ち満ちた生き物だもの。
たとえば、次の記事では「200年前に投資された1ドルが、どこまで増えるか」という内容であるが、その結果はなんと60万倍だ。時間というものの威力がどれだけ強いのか、というのが分かる。
ぼくの投資状況について
……とまあ、色々かき立ててみたけれど、今年の英国離脱、いわゆるブレキジット(Brexit)のときは流石に心穏やかではなかった。 友人は大学時代からのアベノミクス相場で築き上げた利益を全部吹っ飛ばしていたし、私も騒動では7%ほどの損益が出ていた。
今はほとんど戻している。2016年度単年度では少々益が出る程度には回復した。 たった3週間でこれだけアグレッシブに資産の値動きがあるのは、やはり株式はリスクの高い商品なのだな、というのを意識させられる。 しかし、リスクを取らないと成功も取れない。ある程度のリスクは覚悟した上で、リターンを得るようにしていきたい。
資産運用は余剰資金と自己判断で。なお、ぼくは上記の市場全体の成長に賭けて、日本を含む世界株式市場に投資するよう、低コストな投資信託を買う典型的なインデックス投資をおこなっている。
入門書など
私が投資を始めるときに読んで面白かった、ためになった本を挙げておきたい。
臆病者のための株入門
作家の橘玲氏が書いているだけあって、楽しみながら色々な知識を薄く広く学べる本。効率的市場仮説の話なども、直感的に分かりやすく書かれている。
文体がちょっと攻撃的でズバズバと書かれているので、好みが分かれるかもしれない。
全面改定 ほったらかし投資術
楽天の研究員である山崎元氏、インデックス投資ブロガーで有名な水瀬ケンイチ氏の共著。
先の紹介した本と比べると非常に実用的で、「で、どこに投資すれば良いの」っていうのがサクサク出てくる。先に結論あり。 ただ、残念なのが、少々読みづらい部分があること。お二人で書いており、見解の相違がある部分はそれぞれの見解が別々に述べられる。 しかし、それが少々混乱を生む。もう少し構成を工夫して表現できなかったものかなあ、と感じる。
なお、類似の本で山崎氏単著のものもある。しかし、こちらの方が情報が新しいため、読むのであればこちらを読めばよいと思う。
*1:この表は、例えば、国内株式の場合は4.8%のリターンが平均的に期待できる。また68%の確率で+27.28%〜-17.68%の間に収まる、という意味合い