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頼むから、小説『君の名は。Another Side:Earthbound』も読んでくれ

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ぼくのお気持ちはタイトルで完結している。

「君の名は。」を劇場で観て気に入った人は、頼むから小説版を買って読んでほしい。

「君の名は。」の小説は、2つ出ている。どちらも読んでいただきたいのだが、どちらか一つと言われたら、 サイドストーリー集である『君の名は。 Another Side:Earthbound』だ。

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)

映画のストーリーは、ある紐の一つをみせてくれた。この作品では、その紐と一緒に束ねられた、また別の物語を魅せてくれる。

物語は、一旦離れ、そしてまた次の結節点で合流する。縁によって結ばれた者たちは、確かにそれぞれ別の人生を紡いでいる。そんなさまを、この本は見せてくれるのだ。

それぞれに物語があり、それぞれに想いがある。それが結ばったとき、大きく物事は動く。

特に親父さんの物語は、もう一つの「君の名は。」ともいえるほどの出来だ。劇場版で切り出されたストーリの前にも後ろにも横にも、また別のストーリーがあることを示す本作は、この作品の世界を一気に押し拡げてくれる。

ぼくは、劇場版を一度見た後、このサイドストーリー集を読んだ。そして、もう一度見観直す必要があった。そして直接描かれなかった物語たちの結末を理解し、もう一度涙した。

rebuild-life.hatenablog.jp

そこにはもう一つの、あるいは無数の「君の名は。」がある。だから、頼む。読んでくれ。

作品紹介詳細

『君の名は。 Another Side:Earthbound』は、4編の短編集から成る。内容は次の通り。

三葉の身体に入った瀧がどんなことを考え、周りの人々と触れ合ったかが描かれる話(「ブラジャーに関する一考察」)。地元の工務店の息子として、地元を出ることが叶わないであろうてっしーは、どんなことを考えていたか?が明らかにされる話(「スクラップ・アンド・ビルド」)。姉の異変を間近で見ていた四葉は?そのとき四葉に起きる出来事が描かれる話(「アースバウンド」)そして、劇場版では語られなかった宮水夫妻の物語(「あなたが結んだもの」)。

どれも、劇場版作品との整合性が驚くほど完璧で、確かに糸守の町がそこにあるように感じる。スピンオフ作品としては極上の出来だ。

作者は、加納新太氏。ライトノベルなどを発表している作家であり、新海誠作品を始めとした多数のノベライズも行っている。そして、今回は『君の名は。』の脚本協力として制作に参加しており、最も作品の世界に通じている人の一人となっている。

その辺りについては、氏のブログに詳しい。

kanoh.cocolog-nifty.com

『小説 君の名は。』について

一方の『小説 君の名は。』についても、可能であれば劇場版を観た後、2度目を観る前に読んでおくと良い。

小説 君の名は。 (角川文庫)

ぼくは、劇場で作品を観た後に読んだ。映画のシーンが脳内に流れた。 追加シーンや後日談などは何もない。純粋に同じ話であるが、主人公二人それぞれの主観の視点で書かれている。

映画では落ち着いた雰囲気で紡がれたシーンがドタバタと騒がしかったりするさまは、舞台裏を見ているようで面白い。 小説としてみてみると、ストーリーのまとまりそのものは、コンパクトに過ぎるように感じる。映画では時間の経過がうまく表現されていた。

やはり、監督の言う通り映像作品がベストマッチな作品なのだろう。それでもなお、この作品は表裏の存在として、読むべきものであることは、揺るぎない事実だ。

さいごに

ぼくは、劇場版を聖地の新宿、TOHOシネマズ新宿で観た。日本で最も大きいスクリーンのひとつだ。そして、そののち、『小説 君の名は。』を読み、『君の名は。Another Side:Earthbound』を読んだ。そして、立川シネマの極音上映にて再度鑑賞した。

ぼくはよく選択を、人生を間違えるのだけれども、この順序でこの作品を触れていったのは、完璧に正解で非の打ち所がない行動であったと考えている。

物事は、何事も多面的だ。一つの物事に思えたって、その前と後ろには連綿と続くものがある。そして、現実世界の物事も、一本の紐のようにみえても、目を凝らしてみれば複数の糸が絡み合ってそれを成しているのだ。

それを、物語のテーマとしても、作品の構造としても作り込まれた本作品は、現実世界以上の説得力をもってしてぼくらに迫るのだ。