立て直せ、人生。

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半分の人はレールから降りているし、野原ひろしは給料の平均を見ると上位5%の勝ち組だ

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野原ひろしは、5%のレールだ。年収の話である。

野原ひろしは、35歳という設定だ。商事で働き、専業主婦のみさえと子供二人を養うサラリーマン。

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これは、一時期の、あるいは現在に至る「テンプレート的レール人生」の代表だったように感じる。

大学出て、卒業して2年か3年くらいで結婚をする。子供が産まれる前に、郊外に家をローン組んで買って、セダンを買って、ワンコ飼って、満員電車に揺られて出勤する。子供が寝る前に家に帰り、晩酌をしながら子供と他愛ないやりとりをする。

しかし、いまの30代の生活を見てみれば、これは相当に恵まれた生活なんじゃないかと感じる。

レールについて考える。 レールってなんだろう。

近頃では、大学に進学することをレールに乗るというらしい。しかし、全入学時代の現在ですら、進学率は50%ほどなのだ。半分ほどの人が「レールから外れている」*1

本エントリでは、ぼくの幻視するレールと、実際のレールとを示し、その差分について想いを馳せる。

野原ひろしは5%のレール

ぼくには、乗りたくて乗れなかったレールがある。それは、野原ひろしのレールだ。

ぼくにとって野原ひろしは、典型的なレールに乗っているかのようなイメージだった。しかし、野原ひろしはそのイメージとは裏腹に、エリートクラスなのである。

過去のアニメ作品をみると、ひろしは年収650万程度であるようだ*2。 さて、この給与は、給与所得者数のなかでは、なんと上位5パーセントほど、勝ち組中の勝ち組なのだ。

世代で区切ってみても、35〜39歳の男性の平均給与は、502万円である*3から、どれだけのものかが感じ取れる。

現実のレール

お賃金について

年齢階層別の平均給与を見ると、次の通りである*4

  • 20〜24歳
    • 男性: 378万円
    • 女性: 248万円
  • 25〜29歳
    • 男性: 378万円
    • 女性: 344万円
  • 30〜34歳
    • 男性: 446万円
    • 女性: 392万円
  • 35〜39歳
    • 男性: 502万円
    • 女性: 425万円
  • 40〜44歳
    • 男性: 564万円
    • 女性: 457万円
  • 45〜49歳
    • 男性: 629万円
    • 女性: 487万円
  • 50〜54歳
    • 男性: 656万円
    • 女性: 496万円
  • 55〜60歳
    • 男性: 632万円
    • 女性: 480万円

野原ひろしは35歳であるが、上の一覧を見るとと、50代後半並みの所得を得ていることとなる。

しかし、子供二人を抱え、ローンのある家を持ち、妻を専業主婦とし、シングルインカムで生活してゆく生活を想像すると、600万円台の年収が必要そうだとは感じる。そりゃ、「子供を養えるのは金持ち」扱いされるのも無理からぬことだ。

結婚、出産

結婚も、20代で結婚、30になったら出産だ!というのももう古い。

25〜29歳の未婚率は71.8%、30〜34歳の未婚率は47.3% だ。 30〜34歳の未婚率の推移をみてみると、平成2年に32%、平成12年に42%、平成22年に47%という推移。平成27年度の結果はまだ出てないが、未婚率が上回っていてもおかしくない。

また、平成22には、それまで最も多かった「夫婦と子供から成る世帯」の割合を、単独世帯の割合が上回り、最も多い世帯となった。つまるところ、世帯数ベースで見れば、独身貴族世帯が最も多数派な現状であるのだ。

  • 単独: 32.4%
  • 夫婦と子供: 27.9%

(上記全て平成22年国勢調査結果より)

ちなみに、政府統計における世代別の有子率みたいなのが見当たらず。情報をお持ちの方いたら教えてください。

持ち家比率

国勢調査によると、平成22年時点でも、全国平均の持ち家比率は61%と半数を越える。しかし、30代後半の持ち家比率は半数を割り込んでいる。

しかし、「住宅・土地統計調査」によると、1993年時点では30代後半の過半数が持ち家だった。 そう、まさにクレヨンしんちゃんが連載されはじめた時代だ。その頃、野原ひろしの世代で持ち家を取得するのが、ギリギリ多数派だったのだ。

なお、この辺りの状況については、下記のサイトに視覚的にわかりやすくまとめられていたので、紹介する。

www.garbagenews.net

それ、本当にありふれたレール?

さて、ここまで野原ひろしレールと現状の比較をしてみた。 けれど、レールなんてあってないようなものだと思う。

ぼくらの裡に醸造されたイメージは、テレビやドラマ、漫画で描かれる数世代上の実態によって作られている面がある。 しかし、現代は世代間格差が広がる一方であり、身の丈に合ってないイメージだ。

だから、平々凡々としたつまらないレールと感じていたものは、誰もが羨むドル箱路線のレールなのかもしれない。

ぼくのレールは5パーセント

こんなエントリを書いているぼくも、どうやら5パーセントのレールらしい。それは、学位だ。

石を投げれば博士に当たるなら、修士号なぞ向こうからぶつかってくるほどにいるはずだ。 さて、その実態。学校基本調査の大学院進学率を見てみると、5パーセントくらいの存在となる。珍しくはないが、左利きよりは珍しい*5

しかしこれを理工系に範囲を狭めれば珍しくない。きちんとした情報ソースは出せないが、ぼくの出身学部では7割ほどの人が同大研究科へと進学していた。大学卒業のほうがよっぽど珍しく驚いていたものだ。

それはレールにも言えているはずで、自分の属するコミュニティやそのエリアによって、それぞれの人に見えているレールは変わりうる。一人当たり県民所得なぞ、沖縄は210万円ほどなのが、東京では450万円ほどもあるのだ*6。 ここまで実態が違うというのに、日本人皆が共有する、「一般的レール」なんてのはあるはずもなく、それは幻視しているに過ぎない。

平均や中央値なんてのは、個人にとっては結局そんなもので、わかりやすくパッケージされた「常識」「一般像」なんてまやかしに踊らされすぎるのは不幸だ。

さいごに

ジムニーって車がある。スズキが出している軽自動車で、オフロード四駆軽自動車だ。クロスカントリーのベース車によく用いられる。 高い悪路走破性を備えたこの車は、道無き道を乗り越えて行く。660ccの小さなエンジン、小さな躯体で、信じられないしなやかさを伴って。

舗装された道でなくとも乗り越えて行くこの車は、1970年販売からわずか2回のモデルチェンジしかしていない。ぶれないその姿勢。尊敬に値する。

時折、ジムニーも横転することがある。そんな時、オーナーは笑顔で記念撮影だ。あの時君が転がったから、今日はジムニー横転記念日。

レールや舗装道にとらわれない、人生だってそんな風に楽しめる、そんな人間になれるとよいなって思うのだ。

参考情報

政府の出す統計情報は、情報がまとまっていて大変面白い。夜中に一人で酒を飲みながら眺めていると、暗澹たる気分になれてよい。ぜひ精神衛生の良いときに読んでほしい。

特に、国勢調査は良くまとまっていて読みやすく面白い。65歳以上人口は世界で最も多く、日本の人口の23%を越える(平成22年現在)だとか、概要がわかりやすくまとまっててみていて飽きない。なお、気分は沈む。

実態を把握つつ、踊らされ過ぎない。そんな冷静さがこの世の中をサバイブするのに必要なスキルだ。

*1:文科相「学校基本調査」より

*2:アニメ作品の中でいくつか情報があり、どれも600万円台であることが類推される

*3:国税庁「平成26年度分 民間給与実態統計調査」より。

*4:「平成26年度分 民間給与実態統計調査」より

*5:10パーセント前後との調査をみかけるが、母集団が少ないかたいへん古い調査であるので、referしないこととする

*6:内閣府 「県民経済計算」より