毛布を抱えて外に出た。冬、かさばる毛布たちを洗うには、自宅の洗濯機では力不足だからである。以前、無理矢理に洗ったところ、破けて決まった苦い記憶がある。 コインランドリーが好きだ。そこは、人生の交差点だから。両替機のないコインランドリーにぶつ…
ふと気がつくと、平成最後の一年は残り半分と少しとなり、最後に伏線を回収するかのごとく、様々な出来事が起き続ける。 水害に地震に台風に……著名人もたくさん亡くなり、まるで平成が最期を急いでいるようにぼくは感じてしまう。 「元号なんて、変わっても…
さぁ映画を観よう今すぐに!なぜなら映画はいつ上映が終わってしまうか分からないからだ! さぁ「若おかみは小学生」を観よう今すぐに!なぜなら上映期間はあっという間に過ぎ去ってしまうからだ!*1 youtu.be 兎にも角にも「若おかみは小学生」を皆に観て欲…
かつてのぼくらの夏は、ほとんど永遠だった。 そのころ、世界は不思議で満ちていた。ぼくらは、少しずつその世界を齧って咀嚼し、理解を深めていったように思う。 「ねぇ、かつての少年。いま、きみは世界をどれだけ知って、どれだけ偉くなったんだい?」 ペ…
朝、駅に電車が滑り込む。電車の中は驚くほど密度が高く、駅のホームに並ぶ人たちを詰め込む余地などないように思われるが、不思議と人々を詰め込み、ドアは閉じ、再び走り出す。 車内は身動きなど取れぬほどの圧迫感であるが、不気味なほど静かで、モーター…
20代最後の年、父は死に、実家のローンが無くなり、そして祖母のボケは進行し、母はWRXを買ってぼくは三十路となった。 30歳になって変わったこととはあまりない、と感じるが、書き出してみると意外と移ろっている。久々会う友人に、「老けたな」と心の底か…
夏が終わる、という言葉が、昔ほどその重みを喪ったのはいつ頃だろうか。 かつてのぼくらの夏は、ほとんど永遠だった。梅雨が明け気温が上がり、お天道さまが威力を誇らしげに示すようになる頃、ぼくたちは蒸されるような体育館に集まる。怪我をしないように…
人が本当に死ぬのは、その人のことが話題にすら上がらなくなることなのだとぼくは思う。彼が死んだという知らせを聞いたのは、ぼくが大学4年生の頃だったと思う。 ある日珍しく母から電話が入って、こうぼくに告げた。 「ゼンくん、亡くなったってほんと?」…
「あれ?髪の毛増えた?」 その言葉は、まるで、あたたかな春の風のようにぼくの前髪をそっと撫でていった。ぼくの頭皮は、長く続いた冬を抜け、芽吹きの春を迎えたのである。 ぼくはどうやら、AGA、男性型脱毛症だという。AGAはその特徴として、遺伝するも…
かつてのぼくらの夏は、ほとんど永遠だった。 そのころ、世界は不思議で満ちていた。ぼくらは、少しずつその世界を齧って咀嚼し、理解を深めていったように思う。 「ねぇ、かつての少年。いま、きみは世界をどれだけ知って、どれだけ偉くなったんだい?」 ペ…
これ、原作観てないとわかんねーんじゃねーの? それが第一印象。原作の実写映画が好きな人は、「なにこれ」って怒る人いそうだし、アニメだけで入った人は「わからん!」ってキレるだろう、そう感じた。視聴後、「つまらない」と酷評されているのを見かけて…
「出先でパソコンを使いたい」。スマートフォンの普及により、その必要度は減ってきたが、やはりどうしても必要なシーンがある。 例えば、緊急対応。ぼくはインフラエンジニアという生き物である。電子首輪(通称:会社携帯)がひとたび鳴れば、即座に回線確…
餃子専門店っていうと、餃子の王将を思い浮かべる人が多い。ここで、「違うんだ、きみ、大阪王将がね」って言う人もいることはいる。 さて、他に餃子の専門店っていうと、確かにいくつかはある。地方チェーンも多少ある。ただ、そこそこ全国展開している餃子…
少年時代、想いと行動とがちぐはぐとしたり、自分の想いと行動とが、一致をみないことが多々ある。 思い返してみると、どうしてああいう行動をとったのか、どうしてそうなったのか——自分でも理解に苦しむことがある。 けれど、それを含めて、きっとそのとき…
学生生活というものは、まるで終わりの見えないお祭のようなものだ。絶え間なく訪れるイベントは、どれも慣れぬ出来事ばかりで、まるで海辺に打ち寄せる波のように、二度とはおなじものはこない。 どうして社会人になって日々が辛く、だけれども飛ぶように過…
親が長生きすることはリスクであると考える。介護問題だ。特に、一人っ子の増えている現代は、皆の人生は余りに脆弱では無いかと思い至り、暗澹たる気分になる。 介護の問題は余りにぼくらの身近に忍び寄り、読めないリスクとしてぼくらにそっと静かに寄り添…
同じ映画を何度も観るのは、気を違えたものが行うことだと思っていた。 2016年、そんなぼくの理性を奪い、気を違えさせてくれた映画がある。 そして、2017年6月、そんな映画が帰ってきた。その名を、キンプリという。 どんな映画か、という野暮ったい説明は…
先日Suicaが使えないだの、iPhoneを探すをオフの状態でiPhone7を落としただのと、大変にiPhone7との相性の悪いぼくである。 しかし今度こそiPhone7はぼくを裏切ったのだ。
「このカードはすでにwalletにあります」。 無慈悲なメッセージが表示され、ぼくは愕然とする。 2017年4月某日、ぼくのiPhone7はSuicaが使えなくなった。予兆はあった。改札を通るときにSuicaが反応せず、通勤ラッシュのただ中、改札を止めてしまって女子高…
「お店、ドレスコードがあるから。気をつけてね」 そんな連絡がきたのは、お店に行く前日で、ぼくは会社で土日明けのための資料を作ってた。
何でアフィ目的のブロガーは雑記ブログとアッピールするのだろう?アフィブログでいいじゃないか。胸を張れよ。— フミコ・フミオ (@Delete_All) 2017年4月18日 午後12時オフィス街、仕事を抜け出し外に出た。職場ヒッキーのぼくは、あまりの眩しさに目が溶け…
本エントリは、薄毛に立ち向かうハゲ予備軍のお話である 代々受け継がれる言葉、だなんて大層なものはないのだけれど、母からよく言われた言葉がある。 「ハゲる前に結婚せよ」 なるほど、父方の家系は頭頂部から心もとなくなり、母方の家系は前から攻めてく…
大学生活ってのは、まるで長い長い一夜のようである。 一年があっという間の一夜のようであり、しかしどうしてその一夜は忘れがたく濃密で、長い長い一夜のように感じるのだ。 一見矛盾したこの感覚を、見事映像化してくれたのがこの作品である。 一言で言お…
攻殻機動隊のハリウッド版について、一言で言うと「壮大なファン作品」という感じである。 はっきりいって全く期待せずに観に行ったのだが、思いのほか楽しんで帰れたぼくがいた。 押井版やSACの、衒学的ともいえる情報過多なものを期待して行くと、少々肩透…
貧乏な友人ともう一緒に遊べない こちらを読んで、ぼくの周りの男の場合を考えてみた。 ぼくは浪費家で社内にも名前が轟いており、先月などは「飲み会費」が5万の大台を越え、そっと目を閉じ家計簿アプリを終了した。 社会人になり、友と一緒に遊ぶ、そのハ…
攻殻機動隊S.A.C、東のエデンを監督した神山監督。その新作が、封切りになった。 「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」である。 公式PVからは、夢と現実が交錯する、SF要素をまぶした青春ものだと感じ取っていた。 社会情勢ものをマイルドにして、東のエデ…
けものフレンズの11話までを観た。 最終話まで何もブログなどでは書くまい、と思っていたのだけれど、辛抱たまらずこうして筆をとっている。 私事で恐縮であるが、ここのところ仕事とプライベートとてんやわんや、大変に心が脆くなっていた。そんな中、けも…
冒険活劇って、やっぱりワクワクする。きっと知らない世界がどこかにあるんだって無邪気に信じてた子供の頃。 こんなに広い世界なら、きっとアトランティスやムー大陸なんてものがどこかにあるのだと、どこかに希望を抱いていた。 そして、いつかぼくらはそ…
いつも年賀状は、明るい残酷な知らせと共にやってくる。 正月、帰省し実家のポストを開ける。差し込まれた年賀状の束のなかから、三枚だけ、自分宛の年賀状を抜き取る。そのなかに、あの子からの年賀状が含まれている。 何年か前から年賀状のやり取りはほと…
ついに完結した傷物語劇場版。 1年かけて完結されたこの作品、一言で表すと、 すさまじい作品 だった。 ゆっくりと、しかし大きく広げられた物語が、うねり、暴れ、そして収束する。 極端なまでに「静」と「動」が色づけられたこの作品。 三作目となる冷血篇…