立て直せ、人生。

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だから僕らは熊本の馬刺しを食べる

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熊本の地震が騒ぎのなか、友人宅にて馬刺しを食した。一万円ほどで500g(送料込み)。友人は、たまたま地震の直前の土日に、久々に実家に帰省して買い付けていたのだという。聞くと、何故だか親父殿がめずらしく「帰ってこんのか」と声を掛けたという。気まぐれな友人も、何故だか帰る気になって、土曜の深夜東京発、月曜の早朝東京戻りの弾丸帰省をしたそうだ。

写真は綺麗に撮れなかったけど、馬刺しはうまい。日本酒と合わせると、格別だ。霜降りの部分は舌の上でとろけるようで、赤身はコリコリとして歯ごたえがある。独特の濃厚で甘い醤油は、驚くほど馬刺しと良く合って、にんにくと合わせて食べても負けることはなく、格別の味であった。

実は、そんな馬刺し会を開いてくれたネットジャンキーな友人が、当日ぱたりツイッターで呟かなくなり、音沙汰がなかった。皆は心配していた。もしかしたら、動揺のあまり地元に駆けつけてしまったのかもしれない。とりあえず集合してチャイムを鳴らすと、友人は眠い目をこすりながら玄関を開けた。昼寝が過ぎていただけだったという。

話によると、確かに友人の実家は被災したそうだ。祖母の家のすぐしたの地盤が割れてしまって危険な状態だとか、仕方ないから避難したけど、避難先もなかなかに揺れて避難の意味が無いかもねえと言った。実家に戻るにも戻れないよねえ、と僕が声を掛けると、今戻っても何できる訳でも無し、と肩を竦めて苦笑いした。

その日は、皆あおるように酒を飲んで、げらげらと笑った。好きなアニメのこと、好きな映画のこと。机の上には、クラフトビールからキリンビール、珍しい日本酒からワインまで、参加者の趣味により様々な酒が取り揃えられていた。まるで大学生の飲み会のように騒がしく、大人気ねぇよな、と友人は言った。その顔は楽しそうで、僕は安堵した。

飲み会を終えたのち、僕らは片付け、家を出た。そして話す。馬肉のおいしさについて。そして九州の魅力について。

「馬肉、また食べたいよな」
「たべてぇ」
「これ、空輸して持ってきて貰ってもこの味なんだもん。向こうで食べたらもっと美味しいよな。そりゃ、東京の馬刺しとか食えんわ」
「わかる」
「熊本、地震で大変そうだけど、落ち着いたら馬刺し食べに行きたい。温泉もあるんだろ?」
「最高だよ、そりゃあ」
「様子みて、休暇とって、みんなで馬刺し食べに行こうか。金貯めておけよ?」
「お前こそ」

誰かが呟くように言った。変に心配して変な行動起こすよりも、もう少し落ち着いてから日常生活のなかとして、遊びに行った方が良いだろ言うと。

だからぼくたちはきっと、また馬刺しを食べる。