ふるさとワーキングホリデーからみる農奴不足問題
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ふるさとワーキングホリデー が少々話題になっている昨今。
FNNでは、次のように説明されています。
「ふるさとワーキングホリデー」は、都市部の大学生などの若者が、長期休暇を利用して地方に滞在し、 農家の収穫の手伝いや、加工品の製造などの作業を行って、収入を得る制度。
これを読むだけでも、また若者搾取かよ、って思ったりするのですが、実際に募集された「京都ふるさとワーキングホリデイin山城」を見ると、 給料無し(食事代、宿泊料は無料)、自力でくること、「農家が忙しい時期でもあり、本企画の趣旨としてお客様扱いはしません」などと書かれています。
更に説明を読んでいくと「ボランティア保険は府で加入します」と書いてあったり、農家のメリットとして「農繁期に労働力を得ることができます」と書いてあったりで、 素直で本音を隠さない真摯な態度で好感が持てます。
参加者を募集します 「京都ふるさとワーキングホリデイin山城」/京都府ホームページ
ワーキングホリデーってなんや
外務省に、その言葉の解説があります。
抜粋すると、
二国・地域間の取決め等に基づき,各々が,相手国・地域の青少年に対し, 休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度
とあります。
つまり、「休暇で長期的に外国にいくけど、お金なくなるじゃん。その国で働ければハッピーじゃん?」っていうお話。
ふるさとワーキングホリデー
上述の、ワーキングホリデー制度を国内に適用したものが、ふるさとワーキングホリデー制度のはずです。
想定ケースとしては、長期休暇が取れる学生などが田舎に遊びに行くついでに田舎で農業の手伝いなどをし、 労働力を提供する代わりに賃金を得る制度……なんじゃないでしょうか。 つまり、遊ぶ金欲しさで手に染める制度でしょう。
それを実際に地方自治体が運用してみようとしている「京都ふるさとワーキングホリデイin山城」をみると、 「ただ同然で農家が労働力を得るために作られた制度」に成り下がっているようにしか見えません。 「実習生を労働力としてしかみていない、現代の奴隷制度たる外国人技能実習制度」の実態が広く知られ*1、 人が集まらなくなった代替手法にしか見えないのはぼくの目が濁っているからでしょうか。
穿った見方をしなくても、京都府の該当の企画は「短期かつ無償」であり、 ワーキングホリデーからも、「ふるさとワーキングホリデー」からも逸脱した 内容になっているのは確かでしょう。
現代の農奴問題
結婚すると奥さんが農家の労働力扱いされたり、というお話は時折耳に挟みます。 農家の納屋にベンツが停まっていると言われる一方で、このような行いがなされている現状。
現代に至るまで手を替え品を替え、事実上の「農奴」は未だ脈々と受け継がれているのだなあと感じます。
農家の平均年齢は65歳以上だという調査結果もありますし、そうして考えてみるとやはり「高齢者 v.s. 若者」の構図に見えてしまい、暗澹たる気分になってしまいます。
個人的な思い
ぼくは、誰かを犠牲にしてまで守るべきものなどないのでは?と考えます。
無論、自給率を高めるために農業畜産を推し進めるのは、自国のためともなります。しかし、それを若者や外国人を騙して労働力として消費してゆくのというのは、本末転倒でしょう。 農業畜産を推進するのは、国、つまるところ人々を守るため。だというのに、その人達を使い捨てるかのような行動を取るのは筋が通らないです。
また、本来であれば非効率な農家が淘汰されて、より効率的な農家が残る、あるいは農業の工業化が進むなどといった、経済的な観点からも、「気合いで何とかする」農業を守ることは合理的ではないです。 一時的な失業を恐れてブラック企業を保護するあまり、本来利益を得るはずだったホワイト企業がその利益を害される、そんな状況と酷似しています。
月並みですが、若者は若者で不当な「やりがい搾取」がなされぬよう、自分たちの価値をきちんと知り、適切に行動して示していく必要があるのだろうでしょう。
*1:海外からは人身売買同然だ、とも非難を受けているそう