立て直せ、人生。

人生行き当たりばったりなアラサーが、無事にアラフィフになれるように頑張らないブログ

映画『夜は短し歩けよ乙女』感想〜映像に振り回される濃密な90分【ネタバレあり】

大学生活ってのは、まるで長い長い一夜のようである。

一年があっという間の一夜のようであり、しかしどうしてその一夜は忘れがたく濃密で、長い長い一夜のように感じるのだ。

一見矛盾したこの感覚を、見事映像化してくれたのがこの作品である。

一言で言おう。傑作である。どこか古風で衒学的でユーモラスな森見作品を、どうしてここまで完璧に映像化できるのか?不思議に感じるほどの作品である。

しかし、森見作品を忠実になぞっているわけではない。むしろその逆だ。映像作品としては暴れ放題好き放題にやっているのだ。一見ビビットな色遣い、誇張された表現、下衆な表現に一歩踏み込んだ描写、抽象的な映像……アニメというより、実験的アート映像の連続のようなのである。

しかし、やはりこれはまごうことなき「夜は短し」であり、これ以上の映像化はないのだろうとぼくは思う。

監督は、奇才「湯浅監督」。四畳半神話体系でも森見作品の完膚なきまで完璧な映像化を成し遂げた映像作家であり、直近ではテレビシリーズ「ピンポン」なども好評を得ている。

本エントリは、この興奮したぼくの感情を一気呵成に書き立てたものである。

無論、 ネタバレ注意 である。森見作品において、ネタバレなどという概念があるのかは議論の余地があるかもしれないが。

続きを読む

【ネタバレあり】ハリウッド版「ゴースト・イン・ザ・シェル」は楽しめたが、もったいない作品

攻殻機動隊のハリウッド版について、一言で言うと「壮大なファン作品」という感じである。 はっきりいって全く期待せずに観に行ったのだが、思いのほか楽しんで帰れたぼくがいた。

押井版やSACの、衒学的ともいえる情報過多なものを期待して行くと、少々肩透かしなのは確かだ。香港、日本、アメリカを混ぜ込んだ謎の街の描写が、ブレードランナーを上回るネタっぽさで、いちいち吹き出しそうになる点も残念ではある。謎の巨大立体映像広告、謎日本語、70年代のSF映画かい、みたいな。

押井守も言う通り、哲学の塊みたいだった押井版よりも、哲学的にも後退している。

それでも、身体を失って記憶を失って、そんな存在の自分とはなんだろうか?という題を見事描いている。色々引っかかるところはあり、手ばなしで褒められる作品ではないけれも、小難しい攻殻を、ハリウッド的エンターテイメントまで押し上げているこの作品は、一度観て損はないと思う。

また違った一つの「攻殻」なんだと思える作品だから。

以下はネタバレ全開の批評です

続きを読む

友人とする貧乏な遊びが楽しかった

貧乏な友人ともう一緒に遊べない

こちらを読んで、ぼくの周りの男の場合を考えてみた。

ぼくは浪費家で社内にも名前が轟いており、先月などは「飲み会費」が5万の大台を越え、そっと目を閉じ家計簿アプリを終了した。

社会人になり、友と一緒に遊ぶ、そのハードルが格段にあがった。 学生時代は、ほとんどの人が下宿をしており、夜の10時に「酒を飲むぞ」とメールを流せば、たちまち4、5人が酒瓶を片手に部屋に集まり、酒盛りが始まった。

築三十年以上のアパート、6畳一間に大きめのコタツ、皆で足を突っ込んで酒瓶を抱え、くだらないB級映画を眺めて語り合った。

f:id:cho-zu:20170326203458j:plain

続きを読む