立て直せ、人生。

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ブログで訴えられそうになった話

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昔、ブログを書いていて訴えられそうになったことがある。2010年、もう6年も前のことだ。

ぼくは大学生の頃、いわゆる炎上系というのだろうか、はてなでバズった記事に言及するような記事を書いて遊んでいた。
そのブログは、そこそこアクセスを集めていて、当時200ブクマオーバーなどを獲得していたりして、遊んでいた。 しかし、更新が途絶え、2010年の段階で二年ほど更新されていない状況であった。

ある日、研究室の電話が鳴った。出ると、学部長の電話だった。今すぐ学部長室に来て欲しい、指導教員とともに、ということであった。

僕は、指導教員に声をかけ、訝しみながら学部長室に案内された。部屋には学部室長と事務長、机の上には、僕のブログがプリントアウトされた紙。
その印刷物にはTwitterウィジェットが設定されており、「学部室長から呼び出されなう」と書かれていた。学部室長は苦笑しながら、その紙を僕に寄越した。

「このブログ、君のだよね」
「はい」
「これ、訴えるって連絡が来たんだ」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。僕はそのエントリを読み直した。それは、ある出版物を批判する記事であった。「こういう風にすれば損をしない」それは、犯罪行為の推奨だ、わかっているのか、という記事だ。

「この記事のお陰で、仕事がなくなったと電話があって、名誉毀損で損害賠償だということらしい」

僕は、それに反論した。その記事は法律に触れないように、名誉毀損にならないように、細心の注意を払っていた。記事も2人か3人ほどに下読みしてもらって、問題のある表現などは落としていた。
事務長は、それを聞いて僕を叱りつけた。

「何を言っている。法に触れなければ何をやってもいいと言う訳ではない。あちらの人も生活が掛かっているんだ、そんな人をおちょくって困らせる気味が悪いに決まっている。それに、本名で所属を明かしてこんなことを書くなんて、こういうことになるというのを想像できなかったのか、大学生にもなって」

僕はショックだった。大学で、そのような理屈の通らない説教を貰うだなんて、想像だにしていなかった。確かに、所属を明らかにしていたのは軽率だったかもしれない。けれど、「犯罪を推奨する記事を批判すること」を、「法律に触れないからって、やっていいことではない」といわれるのは、天地がひっくり返ったような衝撃だった。それもまるで、生活が掛かっているのならば、犯罪行為をしてもよいのだ、というような言いっぷりで。
学部長は、さらに言い合ってヒートアップする事務長と僕を、まぁまぁ、となだめた。

結局大学側は、大学とは関係無いので関係者間でやってくれ、というスタンスを取るということとなった。ただし、一切大学は関係ないから個人情報は渡せない、という態度だ。それは、明言はされなかったが、僕を守るための学部長の精一杯の措置だったのだろう。相手は、突然トーンを落とし、では記事の削除で手を打とう、という話になり僕は記事を一つ消した。
後日、法を学んでいる人間に話をしてみたら、相手に勝つ見込みはないし、示談金とかそういうものを大学経由で親に要求しようと考えていたんだろう、とコメントされた。

学部長室からの帰り、指導教員は言った。
「正しいと思っていても、実際法律上問題無い行為だったとしても、それが実際どのように作用するか?は周りが取り扱う。例えば、同じインプットを処理するにしても、その処理系が別の実装になっていたら、全く違う結果になる」

正義は絶対的なものではなく、相対的で容易に揺らぐものだ、と伝えたかったのだろうと僕は解釈した。分かりにくいが、どうやら励ましてくれているらしいことがわかり、けれどどうにも伝わりにくい表現だ。しかし、これこそがメタ的に僕がやってしまったことを示しているような気もした。僕は、ありがとうございます、と言って研究室の自席に戻った。