立て直せ、人生。

人生行き当たりばったりなアラサーが、無事にアラフィフになれるように頑張らないブログ

読んでるとラリりそうなハード百合SF『最後にして最初のアイドル』が名状しがたい(レビュー・感想)

「ハードSFでB級で、ラブライブ!の二次創作。しかも百合って聞いたら、どう思う?」

なんだこいつ (ヤク) でもキメてんのか?という言語明瞭意味不明であること甚だしい文なんだけど、 あるんだな、これが

「最後にして最初のアイドル」。それが、その作品名だ。 サイコーな百合作品、略してサイコ百合でもある。

第4回ハヤカワSFコンテスト《特別賞》受賞作であるこの作品、読み終えて一言「バカだ」。よくある帯のあおりの「問題作!」っていうのはあまり信用できないんだけど、こいつは確かに問題作だ。そりゃ選考会も荒れる。

この作品、どこを切り取ってもネタバレなってしまいそうだ。公式の書籍紹介の範囲にとどめ、本作品を紹介してみよう。

生後6ヶ月でアイドルオタクになった主人公、古月みか。宇宙一のアイドルを目指して、高校のアイドル部に入部し、新園眞織と出会う。

やる気にあふれる古月みかであるが、スキルがない。一方で、新園眞織は踊りもステップもすぐさま会得するが、アイドルには冷めた感情を抱く。二人は対象的であった。 そんな二人は、いつしか親友となる。

しかし、非情にも現実が古月みかの夢を砕いてしまう。

それから数年後、原因不明の巨大太陽フレアが発生し、人類は滅亡の危機に陥る。 そんな地獄の世界を生き抜く彼女たちの〈アイドル〉活動とは――。

著者自身は、この作品を 「実存主義的ワイドスクリーン百合バロックプロレタリアートアイドルハードSF」 と名付けている。

何を言っているのかわからないと思うが、ぼくも何を読んだのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった。 少なくとも書いたやつの頭はどうにかなっている。

だから、陳腐だが、こう囁くしかないのだ。

「最アイは……ヤバイぞ」

この作品は、ラブライブ!の二次創作が基となっているそうだ。 元々は「最後で最初の矢澤」というタイトルで、矢澤にこと、西木野真姫の「にこまき」二次創作だったんだそう。 なんとも 業が深い。 まあでも、元ネタを知らなくても存分に楽しめる。かくいうぼくも、ラブライブ!はほとんど視聴をしていない。

タイトルは「最後にして最初の人類」のオマージュ。1930年代の名作SFとして(一部では)大変有名。 この本は、国書刊行会からの2004年に出版された。国書刊行会というと、知っている人は知っているカルト的……というか、「ガチ・オカルト本」で有名な出版社。 「世界幻想文学体系」や魔術系の本などを出している。

この元ネタの組み合わせには、なかなかに、味わい深いものがある。

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『It's a Sony展』に行って、ときめき切なさが止まらなかった

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銀座のソニービルが取り壊しになるという。

銀座のソニービルは、1966年4月29日にオープンした。 日本で一番地価の高い銀座の一等地、設計者は東京オリンピックの駒沢体育館などを設計した芦原義信氏。 後のソニー社長となる、創業者メンバである盛田昭夫とホテルオークラで徹夜でディスカッションをした。

そして、ものを売る場所ではなく、ショールームとしてこの場は築かれた。 当時世界最速のエレベーターを備えた最新鋭のビル。一階ぶんを田の字型に4つに区切り、一回りすると一階ぶん上がるという斬新な構造を取り入れている*1

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当初はトヨタ、サントリー、富士ゼロックスのショールームなども共存しており、晴海側の壁面には2300個ものテレビを並べていたという。

この、銀座の象徴的ビルが、なくなる。東京オリンピックの年に着工したビルが、2回目の東京オリンピックを目の前に、なくなる。

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*1:ニューヨークのグッゲンハイム美術感

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