立て直せ、人生。

人生行き当たりばったりなアラサーが、無事にアラフィフになれるように頑張らないブログ

加藤千恵「ラジオラジオラジオ!」を読んで胸が痛くなる

青春時代は、往々にして「痛い」。自意識過剰で、自分勝手で、ここではないどこかに行けば、きっと未来が開けるはずだ、そう疑うこともなく信じ込んでいたりする。

ラジオラジオラジオ!

加藤千恵「ラジオラジオラジオ!」を読んだ。2001年を舞台にし、受験を控えた等身大の女子高生を描いた本作品は、読んでいて「痛い」。それは、冒頭にも書いた通りだ。

主人公のカナは、トモと一緒に、週に一度地元ラジオ局の女子高生パーソナリティーになる。カナはテレビ局を目指し東京を夢見る。トモは地元の学校へと進学するとしている。そんな二人がすれ違ってゆく物語。

はじめに簡単な感想を述べておくと、とても地味な物語だ。2001年当時の雰囲気が驚くほど明瞭と描かれた作品で、正直「これ2000年代初頭に描かれた作品では?」と思ってしまうほどであった。端的に言って最新の作品なのに古くさい。

主人公は痛いし、読んでいて目を背けたくなる。派手な事件も盛り上がりもない。けれど、それでも、ほとんど同じ時代を生きたぼくにとっては懐かしく、あの頃を嫌でも克明に思い出してしまい、ページを繰る手を止めることができなかった。

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