天国そのものの居酒屋、稲田堤の「たぬきや」
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開けたリバーサイド。降り注ぐ太陽のもと、犬の散歩ついでに休憩がてら寄る人の姿も見受けられる。
テラス席に座り、太陽の光を受けて煌めく川の流れを眺め、雑談を交わす。装飾性を廃して合理性、機能性を追求したモダニズム建築は、そんなロケーションにぴったりである。
天国は地上にあった
そんな酒飲みのとっての天国は、稲田堤にある。海の家を想像して貰えれば分かりやすい。多摩川の河原にある茶屋、川茶屋とでもいうのだろうか、昭和10年創業の歴史あるこのお店は、晴れた日、川べりの涼やかな風を受けながらビールとおつまみを楽しめる天国なのだ。
食べ物はどれも美味しく、そしてお安い。店の入り口にどでん、と置かれたケースに水が張られ、ビールやジュースが冷やされている。そこから飲みたい飲み物をチョイスし、カウンターで支払う。会計がおわったら、きゅぽん、と栓抜きで栓を外して自席に戻る。
基本はセルフサービス、天国は自分たちで守る
基本はセルフサービスで、焼きそばとか焼き鳥とか、少し時間が掛かるものを頼むと「5分くらいしたらきて」と言われ、取りに行く。あるいは、時々「焼き鳥の方ーできたよー」と雑な感じで呼ばれるので、受け取りに行く。
「あれ、頼んだの来ていないよ?」っておばちゃんに言いに行くと、「言わないと忘れちゃうからねーちゃんと言ってねー」ととても有益なアドバイスがいただける。気をつけまーすと言っておつまみを受け取って席に戻る。
片付けも無論セルフサービスで、机の上が散らかってきたら時々皿をまとめて片付けコーナーへ持って行く。ついでにお菓子をひとつふたつ掴み、ついでにビールを買い足して席に戻ってまた下らない話を喋る。
人々の出会いの交差点
河原を散歩中の人たちが、ちょっと休憩、と寄って一杯引っかけて行くようで、夕方になるにつれてどんどんお客さんが増えてゆく。
河原の散歩をする人は犬を連れていて、次々と犬が増える。柴犬にボーダー・コリーにゴールデンレトリーバー(2匹)、そしてまたゴールデンレトリーバーがまた一匹。河原をわんこがわふわふと走り回って、時々お客さんと触れ合って、またわふわふと河原を走る。
ゆったりと時間が流れて心地よく、下らないことを喋ったり喋らなかったり、食べたり食べなかったり。ブログ冒頭の文句は、「デートにも使えるスポット」として書かれていたのを目撃したぼくたちが、デートスポットっぽい煽り文を考えよう!と案を出し合ったものだ。
「とりあえず流行っぽい横文字出しておけばいいでしょ」「フラットデザイン?」「それIT用語じゃ……」「あーでもフラットデザイン、いいんじゃないですか?平屋建てだし」げらげらげら
気づくと、4時間以上も飲み食いしていて、流石にそろそろ帰りますかね、と後ろ髪を引かれる思いで店をあとにした。
お店情報
- 最寄り駅 京王稲田堤駅から徒歩10分 / JR稲田堤駅から徒歩8分
- 定休日 月曜・木曜
- 営業時間 [6月~9月] 11:00~20:00 / [10月~5月] 11:00~19:00