レストランのドレスコード「スマートカジュアル」に悩んだ話 〜 ウルフギャングに行ったとき
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「お店、ドレスコードがあるから。気をつけてね」
そんな連絡がきたのは、お店に行く前日で、ぼくは会社で土日明けのための資料を作ってた。
ドレスコード。なんだそれ。ふだんアウトレットで買った、適当なカジュアルシャツを華麗に着こなすぼくは、混乱のただ中に叩き落される。大学生と見紛うほどのカジュアルさを備えたぼくの格好は評判なのだ。「若作り頑張ってるね」。クローゼットのなかにはなぜか大量のパーカーが眠っており、それをみた女友達に「年相応ってものがあるでしょ、若作りにしたってさ」というコメントをもらったこともある。
さて、今回は久々に会う大学時代にお世話になった方々との飲み会、非礼があってはいけない。ウルフギャングというステーキハウスでの会であり、参加するなら万券数枚は持ってきてね♡との連絡に二つ返事で参加とした。
しかしである。ドレスコードなぞは聞いてないのである。
スマートカジュアル、とは
スマートカジュアル ってなんやねん。 フォーマル、セミフォーマルと何が違う? ぼくはほとんど取り乱して近くを歩く同僚に手当たり次第に聞きはじめた。
「ジャケット着ていけばいい」「ジャケパンが基本じゃね」「スニーカーはだめ」「靴下は履いていけ」
みんな「なんでそんなことで慌てるんだい」というような表情でぼくをみる。なんだそれは。ジャケット?スーツ or カジュアルシャツ or パーカーで生きてきたぼくをばかにしてるのだろう、そうだろう。
その通りである。バーカーなのだ。ぼくは必死で「メンズ スマートカジュアル」というキーワードでググりはじめる。
コンサートの服装でも悩んだことがある。 以前、奏者の人に聞いてみたら、服着てればええ。靴下履いてたらなお良し、との返事であった。一応、襟付きのシャツが無難だろうと判断した。無論靴下はセットだ。
しかし、今度はなんかそれだけではだめっぽい。よくわからんけど。家に帰り、クローゼットをあけてみる。ジーパンばかりのなかから、コットンパンツを見つけ出す。
問題は上の服装である。スーツ用の、無地のカッターくらいはある。しかし、上着がない。 試しに、見つけたコットンパンツと組み合わせてみる。土日にゴルフに向かおうとするお父さんじみたおっさんが、そこには佇んでいた。
あかんやろうこれは。さすがのぼくも焦りが募った。翌朝ユニクロにいってみた。少し柄のあるカッターを買う。いそいそと着てみる。少しカジュアルになった土日のお父さんが顕現する。
悩む間に集合時間が迫り来る。ぼくは意を決してそのままの格好で家を出た。電車に揺られるなか、ぼくは考える。ユニクロのジャケットを買うか。いやしかし、上からつま先まで全てが全てユニクロの格好はいやだ。っていうか、さっきユニクロ行ったしユニクロで買ったばかりの服着ていくわけにはいかない。
ぼくにだっていっぱしの男としての矜持があるのだ。
無印良品というソリューション
迫り来る時間。悩み、考え、苦悩し、その前に無印良品が現れる。これだ!ぼくは即座に店に入り、ジャケットを探す。そこには、リネンの薄手のジャケットが佇んでいた。これだ。これしかない。ぼくはレジに並び、着て行きますので、と伝えて店を飛び出した。
待ち合わせの場所につくと、すでにメンバは揃っていた。みな、バッチリきめた格好である。ぼくをみた先輩は笑顔を浮かべて言った。
「上着がパーカーくらいしかねぇ、って言ってた割にはちゃんとした格好をしてるじゃん」
「無論ですよ。ぼくももう30目前なので」
笑いあい、店に入る。ぼくは、内心ほっと胸を撫で下してた。ジャケット買ってよかった。
ウルフギャングのお味
さて、ウルフギャングは大変に美味なお店であった。
男が6人で行って、ロブスター二匹とプライムステーキ人数分、あとポテトふた皿とワイン一本。これで1人2万円弱で、お腹いっぱいになった。
ロブスターは時価である。 量としてはどんなもん?と店員さんに聞いたら、こんなもん、と人差し指と親指で隙間を作り、みんなに回らないくらいの少ない量だよ、とのこと。ならばと、二匹頼む。
しかし、出てきたのは思ったよりも大ぶり。これだけでも結構お腹が膨れるのであった。
お肉はミディアムレアでお願いをした。1人ぶん250gとのことである。 ロブスターを食べたのもあってか、最後の方はみな随分と食べるスピードが落ちていた。美味しいのだけれど、お腹に入っていかない。嬉しい悲鳴である。
ロブスターに肉にワイン。それでお腹が膨れてしまうときの至福感は筆舌に尽くしがたい。 気の合う人たちと、美味しい料理。生きててよかった。ただ、それだけの感情が湧き上がってくる。
お店での服装
ふと店を見渡すと、バッチリめかしこんだ人から、上はカッターシャツだけの人、カジュアルな襟付きシャツとジーパンの人もいれば丸首のシャツの人もいた。
まぁ、うん。あんまり気張らなくても良かったのかな、そう思わなくもない。
けれど、こういう時に着るための服ってのを少し真面目に考えておかなきゃなぁと思う。会社の服装が緩いことをいいことに、ほとんど真面目に服装について考えたことがなかった。水は低きに流れる。「襟ついてればアロハシャツでもオーケー!下はデニムでも上着がパーカーでもね!」な弊社、ぼくはそのレギュレーションをギリギリで乗り越えている。
ある時会社の人との話。ジャケットとかみんなよく買いますよねー、一着数万円とか。ぼく酒飲むかPC買っちゃいますよ、とぼく。社会人なんだから、一着くらいは買いなさいな、しばらく着れるんだから、との返答。
そんな言葉を思い出す。 服装だとかなんだとか、意識しないと、勝手には年齢についてきてくれないのである。大学にいたのはもう4年も前のことで、入学したのは11年前。中身はかってにおっさんにモデルチェンジしたのだから、外身も変えねばいけない。
そんな風にふわふわと考えながら、ぼくは電車で帰路についたのだった。
(所要時間 35分)
帰宅後追記
背中の留め糸が切られてなくて、ぼくは絶望する。気づかなんだ……。
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