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レジストラとレジストリって?ドメイン名の基礎知識、タジキスタン(.tj)を添えて

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現在、こんなエントリが上がったことで、「レジストリが止まった?レジストラじゃなくて?マジかよ」ってな具合で一部界隈で話題になっている。

ここで「レジストリとレジストラって何よ、ドメイン名ってお名前.comとかさくらインターネットで買うんじゃないの?」 って感じで思っている人が多い。

昨今のブログブームでも「独自ドメインで運用しよう!」とドメイン名を登録する人がふえている。さて、ではそのドメイン名ってどういう仕組みで管理されてるの?ってのを簡単に解説したいと思う。

本エントリの解説対象としては、レジストリ、レジストラ、ccTLD、gTLDである。DNSについては踏み込まない。

レジストリ・レジストラ

ドメイン名の登録時に出てくる概念として、レジストリ・レジストラ、リセラという物がある。

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レジストリ

レジストリは、ドメイン名を管理する組織で、.jpや.com、.netなどのドメイン名( TLDと呼ぶ *1 ) ごとに一組織存在する。

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これは、ドメイン名は重複しないよう管理する必要があるためである。もし、ドメイン名を複数の組織が管理してて、一つのドメイン名に対して複数の人が登録していたら、えらいこっちゃ、である。

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レジストリは、通常はドメイン名の登録者と直接やりとりはしない。ドメイン名の登録者は、通常「レジストラ」とやりとりしてドメイン名を登録する。

レジストラ

レジストラは、登録者からの依頼を受け、レジストリに対してドメイン名の登録をする、仲介業者である。 レジストリは、先述の通り、直接ドメイン名の登録者とはやりとりしないため、レジストラを介してドメイン名の登録や、情報変更を行うことになる。

例えば、ドメイン名を登録する際に利用する「お名前.com」はレジストラである。

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レジストラは、IPアドレスやドメイン名を管理している非営利法人「ICANN」の認定を得て、各レジストリへのドメイン名の登録業務を行う。

なお、各レジストリに登録するためには、ICANNとの契約だけでなく、各レジストリとの契約も必要だ。だから、たくさんのドメイン名(TLD)を取り扱いたい場合は、たくさん契約しなければならない。また、各レジストリが定める規約に則り、登録内容の確認なども行わなければならない。

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なので、リセラーと呼ばれる代理店も存在する。

リセラー

レジストラを介してドメイン名の登録などを行う組織。レジストラの代理店とも言える。

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レンタルサーバ屋などでドメイン名の登録ができたりするが、これはリセラーであることが多い。例えば、レンタルサーバで有名なさくらインターネットは、レジストラではなくリセラーである。

ccTLDとgTLD

ドメイン名は、二つの種類に大別される。それが、ccTLDとgTLDだ。

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gTLDとは

gTLDとは、分野別ドメインである。「.net」「.com」「.info」などは、こちらに属する。

一般ドメイン名とも呼ばれるこれらのドメイン名は、近年ドメイン名のトップレベルドメイン名の自由化に伴い爆発的に増加している。たとえば、「.canon」「.hitachi」などの企業ドメイン名もあれば、「.shop」などの一般ユースを目的としたドメイン名までが作られている。

ccTLDとは

ccTLDとは国コードトップレベルドメインである。「Country Code TLD」の略称だ。 具体的には、「.jp(日本)」や、「.cn(中国)」などがある。 ccTLDは基本的に国際的に定められた国名コード*2に基づいている。

これらのドメイン名は、「その国に住んでいないと登録できない」という独自のルールが設けられていることが多い。これは、そのドメイン名の運用組織により、日本のccTLDである「.jp」にはそのルールがある。

一方、「.tv」はツバルのccTLDであったが、運営組織ごと売却され *3、 誰でも登録できる運用ポリシーとなっている。

今回、話題になったのは、タジキスタンのccTLD、「.tj」、こちらの種類だ。

ドメイン(TLD)が消える?

ここまで解説すると、タジキスタンのレジストリが機能不全に陥っていることの異常性がわかるのではないか。

これまで、レジストラが破産するなどの問題は何度かあったが、他のレジストラに引き受けてもらうなどの措置が採られてきた。しかし、レジストリの機能不全は過去類を見ない。

たとえば、ccTLDは国ごとの原則であるが、ソ連のccTLDである「.su」は未だに利用可能だ。

元エントリでは、レジストリの運用者が逮捕(拘束された?)とのことだ。 政情が不安定とのことで、国境付近は渡航中止勧告が外務省から出ている し、言論弾圧がされているとのニュースもみかける。

そのような目的のために、レジストリの運用者を拘束したり、ということなのだろうか……。

参考文献

そのほか、JPNICのサイトはインターネット関連の情報が豊富であり、「インターネット用語1分解説」は大変に質の高いコンテンツである。

*1:ドメイン名はドットで区切られるが、右端からトップレベルドメイン、第二レベルドメイン……と呼ぶ。

*2:ISO3166

*3:現在はVerisignがその使用権を持つ。なお、Verisignは「.net」「.com」を運用する組織である