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立て直せ、人生。

人生行き当たりばったりなアラサーが、無事にアラフィフになれるように頑張らないブログ

【ネタバレあり】「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」感想。オトナだからこそ、刺さるものがある。

映画 レビュー

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冒険活劇って、やっぱりワクワクする。きっと知らない世界がどこかにあるんだって無邪気に信じてた子供の頃。

こんなに広い世界なら、きっとアトランティスやムー大陸なんてものがどこかにあるのだと、どこかに希望を抱いていた。

そして、いつかぼくらはそれをみつけ、ぼくら以外の誰もが知ることのなかった、秘密を得るんだって淡い期待を抱いていた。

ロストテクノロジー、知られざる遺跡。そんな、子供にとって「ワクワク」する要素を詰め込み、丁寧にまとめあげられたこの作品は、たいへんに良い作品である。

もちろん、欠点はいくつかある。アーティスティックなポスターの雰囲気に寄り添えていない点(でもこれは、ポスターの完成度が高すぎるだけだ)。あるいは、冒険活劇と言いつつ、難所を攻略するシーンが一部ダイジェストになってしまっていた点。

個人的には、インディージョーンズを意識した演出(音楽を含む)が、子供向けにしても安直で、少々幼稚に感じられた点が残念だった。

しかし、それでもなおこの作品は良作たりえるのだ。

あらすじ

暑く気だるい夏の昼下がり。南極から流れ出た氷山で遊ぶのび太たちは、とあるリングを見つける。

リングは10万年前のもの。人がいないはずだった南極での大発見なのだ!と遺跡を探す。そして見つける巨大な古代都市。

「落とし主に届けよう!」

そして繋がる、時を超えた友情。のび太たちは、時に対立しつつも危機に立ち向かってゆく。

以下はネタバレを含みます

人と人とのふれあいを丁寧に描く

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冒険活劇だ。まごう事なく。ハラハラさせたり、ワクワクさせたり。でも、それもダイジェストになってしまっているシーンがある。その点は確かに残念だ。

では、何に時間を割いているのか。それは、キャラクターたちの感情だ。出会い、ふれあい、心を通わせ、しかし対立し、そして和解する。本作品では、この描写を平和な日常的シーンを挟み込みつつ描くのに時間を割いていたように思う。

無論、冒険のなかでドタバタやりながらそれを描く手もあっただろう。容易ではないけれど、やってやれないことはない。コンパクトに濃密に纏め上げることだってできただろう。

でも、この作品は敢えてそれをやっていないのだと感じる。なぜか。

日常と非日常の対比の妙

この作品は、日常と非日常の対比を描いているからだ。 日常から非日常の世界に、お遊びに来たのび太たち。他方、日常を喪って「旅をし続ける」非日常の世界に住む少女カーラ。

そして、そんな彼らに対し、大きな課題を投げかける。片方の世界を救うならば、もう片方の世界は没してしまう。 カーラものび太たちも、その問題に苦悩し対立し、そして自分たちで結論を出す。どちらかが救われない結論だとして、それでも皆がその目的のために力を合わせる。

この物語の本質を示すために、どうしても日常的な触れ合いのシーンが必要なのだったのだろうとぼくは思う。そして、それはきっと成功している。だから、地味でだけれど安心して観ていられる、そんな温かな作品に仕上がったのだ。

SF的な要素

さて、ぼくが気に入った点としては、もう一つある。「すこしふしぎ」要素だ。

物語の冒頭で、氷漬けになっていた謎のふっくらマンモス風動物「パオパオ」。彼が持っていた荷物。氷漬けのドラえもんの謎。

それらは、物語の困難な局面で伏線が回収され、そして打開へと導いてくれる。そして、10万年前という設定を活かした物語の最後の締めも大変憎く、空間、時間ともに隔たれた友情が、それでも確かに一続きの同じ世界の物語だったのだと感じさせてくれる。

音楽との一体感

エンディングで流れる、平井堅の「僕の心をつくってよ」は最高に盛り上がる点は、どうしても付け加えておきたい。

傷つく一緒と 傷つかないひとり
君となら 傷ついてもいいかな
ねぇ 君のずるさを晒してよ
ねぇ 僕のダメさを叱ってよ
これからも この先も 僕の心をつくってよ

大人になって聞くと、ラブソングそのものである。しかし、さてドラえもんの映画に付けてみるとどうだろうか。

対立するのび太たち。でも、お互いに尊重しあい、自分の目的を譲るカーラ。

子供の頃の良い関係って、自分のズルさを隠すことなく、そしてお互いに喧嘩して、叱りあって、みんなで自分たちの心を作っていったように感じる。美化しすぎかもしれないけど、少なくとも長編作品ののび太たちはそうだ。

たとえここにいなくたって、同じ空を眺めて、友情って絆で繋がっていたら、きっと大きく成長しあえるんだ、そんな風にぼくはこの曲が聞こえたんだ。

さいごに

劇場で見終えたあと、こんな声が子連れの女性から聞こえてきた。

「なんだか、穏やかな話だったね」

そうだ、その通りなのだ。冒険活劇なのに地味だ。だけれど、この作品は穏やかで、優しさに満ちている。じんわりとあたたかな気持ちが心の中に拡がる気がする。

まだ見ていない人は、ぜひ見に行ってみてほしい。もういい歳なんだ、って?いやいや。大人だって、誰もがかつては子供だったのだから、きっと何かを得られるはずだとぼくは思う。

ぼくは、この作品が好きだよ。

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